なぜサイトごとにPERが違うのか?
2023.11.21
株のポートフォリを考えているときに疑問に思ったため転載。
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PERとは?
PERは”Price Earnings Ratio”の略で、日本語では「株価収益率」と訳されます。
株価とEPSで求めることができます。
計算式は PER = 株価 ÷ EPS です。
※EPSは各社の四半期決算資料などで参照できます。
EPSは”Earnings Per Share”の略で、日本語では「1株当たり純利益」と訳せます。
計算式は EPS = 当期純利益 ÷ 発行済み株式数 です。
PERの使い方
PERは企業の「株価」と「利益」が変数になっているため、株式が企業の利益から見た場合に、買われ過ぎなのか・売られ過ぎなのかを判断することに使えます。
PERの具体的な使い道ですが、筆者は同じ企業の過去のPERと比較したり、同業他社との比較で活用することが多いです。
利益が変数になっていることから、他業種の銘柄同士の比較には使いづらいです。
ただし、セクター間のPERを比較して、特定のセクターの値ごろ感を知りたい時などには有効です。
なお、PERは利益が出ていないグロース企業の分析には使えません。
グロース企業の場合はPSRなどの別の指標を利用します。
なぜサイトごとにPERが違う理由
PERの値がウェブサイトによって異なっていたことはないでしょうか?
これはPERの計算に使用するEPSに秘密があります。
よく「”予想”PER」という書かれ方をしますが、これは企業の将来のEPSを予想し、それに基づいて計算したPERという意味です。
一方で、過去のEPSの実績を元にしてPERを算出することも可能です。
また、単純に直近の四半期決算のEPSを4倍にしてPERを算出することも可能です。
つまり、PERがサイトによって異なるのは、参照するEPSが異なるためと言えます。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)を例に考えてみましょう。
2021/3/14時点での株価は159.60です。
1.過去の実績EPSから算出した場合
過去1年間の実績EPSは8.03でした。
この値を元に計算すると、PERは19.87倍になります。
株価(159.60)÷EPS(8.03)=PER(19.87)
2.将来の予想利益からEPSを算出した場合
仮にEPSが昨年より10%成長すると仮定した場合、EPSは8.03×1.1=8.83になります。
この値を元に計算すると、PERは18.07倍になります。
株価(159.60)÷EPS(8.83)=PER(18.07)
3.直近の四半期EPSのみから算出した場合
直近の2020年Q4のEPSは1.86でした。
今後の成長を考慮せずに現在の利益を出し続けると仮定すると、EPSは1.86×4=7.44になります。
この値を元に計算すると、PERは21.45倍になります。
株価(159.60)÷EPS(7.44)=PER(21.45)
まとめ
以上のように、企業の将来の利益をどう評価するかによって、EPSが変化し、結果的にPERが変動します。
PER50倍など、極端に高いバリュエーションで取り引きされている銘柄は、それだけ将来の利益を期待されているということになります。
ですので、PERの高さ(低さ)は、企業成長への期待とも言い換えられます。
企業の状況によってどのようなEPSを使うのかは重要な問題です。
今後も高い成長を見込めるなら将来の予想EPSを使うべきでしょうし、
逆にゆるやかな衰退が予想できる企業なら実績を踏まえた控えめなEPSを使うべきでしょう。
各ウェブサービスがどのような数値からPERを求めているのかはわかりませんが、一度はご自身で手計算してみることをお勧めします。