基本的な配管のサイズと単位について
2024.1.6
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
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"やさしい実践 機械設計講座"の 配管1
配管は正直、ややこしい、勘違いしやすいので気を付けましょう。
配管のサイズを表す単位はインチを基本とし、1/8、1/4、3/8、1/2、3/4、1” のようにあがっていきます。
また、これを工場特有な呼び方があり、小さい順に、イチブ、ニブ、サンブ、ヨンブ、ロクブ、インチ、と呼びます。
基本はあくまでもインチなのですが、パイプなどはミリで呼ぶ場合もあります。
たとえば配管用炭素鋼管(SGP)で呼び A20 と B3/4"は同じ物です。
最初のAグループはミリで内径を表していて、後のB3/4"は内径の 25.4mm X 3/4 = 19.05mm を表しています。 正確にはこの鋼管は外形27.2mm 内径 21.6mmです。
また、これもよく勘違いするのですがホースの呼び番号で10とか12で呼ばれている物で、これはmmを表しますが樹脂製ワンタッチチューブとゴム系のホースでは、前者ワンタッチチューブが外形を示すのに対し、ゴム系ホースは、内径を示します。 チューブを使用するときには、注意が必要です。
いずれにせよ 呼びは、あくまでも呼びと理解し詳細寸法が必要なときには、カタログを見るようにしてください。
配管用ネジは専用の規格があり 以下に示す。 ネジ部が平行の物と1/16のテーパー付きの物がある。
基本的な組み合わせは、
めねじ平行ネジ + おねじテーパーネジ
めねじテーパーネジ + おねじテーパーネジ になります。
市販のバルブ、シリンダーは、通常 めねじテーパーで Rcと記述されていて これは JIS 表の Rと同じである。 しかしほとんどの空圧機器メーカのカタログにはRcと記述してあり、私もこちらの方がしっくりくるので、ここではRcと記述していくことにします。
比較的小さなめねじは普通のメートルネジで代用される場合も多くある。 (M5以下の場合)
なぜネジがテーパーになっているかと言えば、流体の漏れを防ぐためで、テーパーなので強くねじ込めば隙は無くなる。 しかしこの為、管の長さをそろえることが非常に困難になり、締め加減で長さが変わってしまう。 単管であれば問題ないが2,3本と同じ物が並ぶときにはこの長さを合わせるのに熟練した技能が必要となる。
管用平行ネジサイズを示す。
管用テーパーネジサイズを示す。 単位mm
下記に管用テーパーネジ下穴径を示します。
現在では、上記2種類の管用ネジが主流です。
これ以外に PF(管用平行ネジ)、PTネジ(管用テーパーネジ)という物があります。
PF => G 、 PT => R, Rc と考えてください。 たとえば PT1/8 = Rc1/8 で、同じネジです。
PTネジの規格表にはRcに無い規格も含まれています。
以下参考表です。 網掛けのない箇所は PT規格にのみ存在します。
また、インチ系のネジなのに、さらにアメリカ独自のネジ NPTと言う物が存在し、これはRcと互換性がありません。 よくRcネジを使用できないかと言われますが 1インチあたりの山数(ピッチ)が違いますので 残念ながら使用できません。 あまり聞き慣れないだけで入手もさほど困難ではないと思います。
注意が必要です。 アメリカで使用される管用ネジは、すべてNPTになります。
下記に 規格表を示します。
代表的な金具(継手)を 以下に示します。
配管継手の接続
各機器の接続口に管や継手を接続するときは、必要以上に締めすぎないようにする。
締めすぎると破損し、空気漏れの原因となる。
ブラッシング
配管・管継手などは、配管する前に圧縮空気を吹き込んで清浄にする。
配管は、内部に ほこりや錆などが残ることが多く、必ずこれを除去してから使用する。 そのままで配管す ると、機器の中にほこりや錆が流れ込み、トラブルの原因になる。
シールテープ
配管する際にシールテープを使用するが、このシールテープの巻き方が悪いと空気漏れ を発生させ、またシールテープの切れ端が機器に入って動作不良を起こす。
巻きつけ方向 に注意し、ねじの先端を一~二山残してシールテープを一~二重に巻き付け、爪先で押さ えてねじに密着させる。
液状のシール材を使用するときは、やはりねじの先端から一~二山残して、多すぎない ように注意しながら塗布する。
機器のめねじ側へ塗布してはならない。
また圧縮空気は、 シール材の硬化時間を待って投入する。
ねじ込むときにシールテープが ちぎれ、機器に入って空気漏れ などの原因になる。
配管2 |
"やさしい実践 機械設計講座"の 配管2
配管のコンダクタンス
配管についてもコンダクタンスの考え方を適応して流量特性を考えることができる。
管内径d[mm]、管長さ L[m]の配管の有効断面積 S[mm2]は次式で求められる。
実験的係数のλ[一]は管摩擦係数といい、
実際の使用上はグラフデータより判断するとが便利である。
鋼管配管の場合には継手の影響が大きく考慮する必要があるため、鋼管配管用管継手の相当直管長さグラフから継手の相当直管長さを求めて、配管長に加える。
(配管長) L =(配管の実長)+(相当直管長さの総和)
樹脂チューブ 有効断面積 鋼管 有効断面積
コンダクタンスの合成
空気圧システムはバルブ、継手、配管など複数の機器が接続されて構成されるので、ある配管系の総合能力を構成機器のコンダクタンスの合成値として把握するのが便利である。
圧縮空気の流量・圧力降下などの算出に用いられる。
1)合成の計算
直列接続と並列接続に分け、コンダクタンスC1、C2、C3 ...の合成値 C [dm^3/(s・bar)]は、次の簡易式で求められる。
直列接続(圧力降下が小さい場合)
並列接続
2)システムの合成
典型的な例を図に示す。 同じコンダクタンスを2つ接続すると合成値は1つの場合の約8割に減少し、2:1のコンダクタンスの機器を2つ接続すると合成値は小さい方の約9割に減少するというような性質である。
システム構成を有効断面積から考慮すると、直列のうち、一番小さいコンダクタンスを持った機器をマークすることがポイントになる。 また接続する機器数が増加すると、合成結果は小さくなる。
空気圧システムの多くはこの直列接続である。
例1
コンダクタンス1.8dm^3/(s・bar)と2dm^3/(s・bar)の機器を直列合成したときの合成値は
となる・
例2
シリンダの応答を改善するためには、どの機器を改善すれば最も効果が大きいか。
このシステムではコンダクタンス最小の速度制御弁が機器の中で一番小さな 有効断面積である シリンダの応答はこの合成値に関係するので、速度制御弁を変更することがシリンダの動作改善に最も有効になる。
となる。
空気圧配管の圧力降下
空気は油などに比較して格段に流れやすいが、やはり粘り気を持っている。
このため配管の中を流れるときに摩擦抵抗が生じ、圧力が降下する事になり、その割合は流量の値や配管内面の粗さによって異なる。 またティーによる分岐やエルボ等の曲がり部などいずれも圧力降下を生じるため、注意が必要である。
システムを構築する場合、フィルタや他の機器によって圧力降下を生じるが、配管部分の降下も考慮しておかないと末端で必要とする圧力を確保できない場合が生じる。 特に供給配管に用いられる配管用SGP(スケジュール40鋼管)については、管の内径と管の長さから圧力降下を直接求める形の次式が便利である。
これは圧力降下がそれほど大きくない亜音速流れ
の範囲に適用する。
Lには、管継手などの相当有効長さを加算する。
式の係数 2.466 X 10^3 / d^5.31 式の係数を下表に一覧にする
例1
鋼管2B(50A)、長さ100mで上流側圧力0.7MPa、流量15m^3/min(ANR)のときの下流側圧力は 表より
係数 2.466 X 10^3/ d^5.31 は 1.740 X 10^-6
= 0.0489MPaとなる。
例2
鋼管1B(25A)、上流側圧力0.5MPa 、流量 5M^3/min (ANR) を流す場合
長さ10mあたりの圧力降下は
係数 2.466 X 10^3/ d^5.3は 5.505 X 10^-5
= 0.023MPaとなる。