3. プロジェクトライフサイクルとプロジェクトフェーズ
1.はじめに
エンジニアリング企業におけるプロジェクトは長期間を要する。長期間のプロジェクトを漠然と遂行してしまうと、メリハリのないプロジェクト遂行となってしまう。
メリハリをつけるためには、プロジェクトを段階毎に区切り、マネジメントする必要がある。この考えこそがプロジェクトライフサイクルであり、プロジェクトをいくつかの段階に分け(プロジェクトフェーズという)、各段階において重点管理項目を定めて計画、遂行、統制する。
本ガイドでは、プロジェクトライフサイクル、プロジェクトフェーズ、フェーズコントロールについて解説する。
2.プロジェクトライフサイクル と プロジェクトフェーズ
ライフサイクルとは、アメリカの発達心理学者で、精神分析家のエリク・ホーンブルガー・エリクソンが、その著『ライフサイクル その完結』で、人生の経過を円環に描いて説明したことから、広く一般にこの言葉が浸透するようになった。エリクソンは、人生を8つの段階(乳児期、幼児期初期、幼児期、学童期、青年期、成人期初期、成人期後期、老年期)に分け、それぞれの段階で解決すべき課題(発達課題)があるとした。
この考えが今では広く応用されており、ビジネスにおいてライフサイクルと言えば、製品やサービスなどが生まれてから消えるまでの一連の過程のことを意味する。エンジニアリング産業では、「プロジェクトライフサイクル」という言葉が一般的に用いられており、プロジェクトの開始から終結までの一連のプロジェクト遂行過程を表している。多くのエンジニアリング企業では、独自のプロジェクトライフサイクルを定義している。
プロジェクトライフサイクルでは、プロジェクトの一生を、プロジェクトの開始から、プラント完成を経て、Warranty Period(瑕疵担保責任)満了でFinal Acceptance(本検収)がなされ、契約完了するまでと定義している。
プロジェクトライフサイクルは、契約完了をもって終点とするものであり、プラントを客先へ引渡した時点(Care & Custodyが客先へ移転した時点)で終了することにはならないことに留意する。
プロジェクトライフサイクルを区切る一連の段階をプロジェクトフェーズという。
一般的にフェーズとは、前のフェーズを完了したら次のフェーズに移行するのが基本である。各フェーズの中には、それぞれ重点管理項目が存在し、それを核としたマネジメントが行われる。
プロジェクトフェーズは考え方により、以下のように様々に区分けされる。
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PJ遂行ガイドでのプロジェクトフェーズ
Set-upフェーズ ⇒ Build-upフェーズ ⇒ Productionフェーズ ⇒ Close-Outフェーズ ⇒ Assessmentフェーズ -
作業区分によるプロジェクトフェーズ
Engineering ⇒ Procurement ⇒ Construction ⇒ Pre-Commissioning ⇒ Commissioning -
PMtools IIIでのプロジェクトフェーズ
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Phase 1 Projectの遂行方針や遂行態勢を確立する段階
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Phase 2 主要基本設計が確定し主要資機材の発注が行われる段階
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Phase 3 詳細設計の最盛期であり主要資機材が製作されている段階
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Phase 4 建設工事の立ち上げの段階
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Phase 5 建設工事の最盛期
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Phase 6 試運転時期で運転開始直前の段階
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Phase 7 Project評価段階
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とあるプロジェクトを例にしても、これだけのプロジェクトフェーズの考え方があるので、フェーズについて話をする場合は、どのプロジェクトフェーズの考え方に基づいて議論が行われているのか注意が必要となる。
また、フェーズは、重なりあわずに移行するのが基本であるが、上記の例を見てもプロジェクトの場合はフェーズが重なりあう事も多く、その点にも注意を要する。
PJ遂行ガイドでは①のフェーズ分けを採用し、次章から解説する。
なお、各種プロジェクトフェーズ分類の比較については、507 業種別プロジェクトフェーズ一覧表を参照のこと。

3.プロジェクトライフサイクルの構造
一般的に、プロジェクトライフサイクル構造にかかる典型的なコスト及びマンパワーは図1に示されるような傾向がある。それにプロジェクト遂行ガイドで採用しているプロジェクトフェーズを当てはめると下図のようになる。
マンパワー数は、コアメンバーのみでプロジェクト遂行体制作りをするSet-upフェーズでは少人数で、プロジェクト活動が本格化するBuild-upフェーズに入り増強される。プロジェクト活動が最盛期を迎えるProductionフェーズでは、マンパワー数がピークとなり、プラント引渡に向け総仕上げのClose-outフェーズに移るとデモビが本格化し減少に転ずる。
Assessmentフェーズでは、Warranty対象のトラブルが生じない限り、フルタイムワークとはならず、必要に応じて、他業務との兼務でパートタイムワークとなる。

図1:典型的なプロジェクトライフサイクル構造
また、図2で示すように、プロジェクトの進捗に伴いリスクと不確実性は減少し、変更に対するインパクトは増加する。

図2:プロジェクトの不確実性と変更インパクトの推移
上記2図を踏まえ、各プロジェクトフェーズの概要は以下の通りである。
-
Set-upフェーズでは、リスクや不確実性が最も高い状態の中で、少人数のコアメンバーでプロジェクト遂行体制の確立、プロジェクト遂行計画の立案などを行う。
-
Build-upフェーズでは、プロジェクト遂行計画に基づき、本格的にマンパワー動員をかける段階である。この段階では変更に要するインパクトは小さいので、変更が必要ならこのフェーズまでに行うべきである。リスクや不確実性は、このフェーズでプロジェクト遂行の基盤が固まるにつれ、減少する。
-
Productionフェーズは、マンパワーの動員がピークとなる段階である。この段階での変更は、スケジュールやコストへ非常に大きなインパクトとなるので、回避又は軽減に努めねばならない。関係者がProduction(生産)のみに注力できる環境を作ることが重要となる。
-
Close-outフェーズでは、業務量が減少するにつれて、デモビが開始される。現場では、プラントの客先への円滑な引渡しに向け、取りこぼしがないようにすることが重要となる。変更に関してはインパクトを算段している場合ではなく、執念を燃やし完成させる他なし。
-
Assessmentフェーズでは、プロジェクトを振り返り、次へつなげるようにする。客先からの問合せ、クレーム等に対応する。
4.フェーズコントロール
フェーズコントロールは、メリハリをつけてマネジメントするため、プロジェクトをいくつかのフェーズに区切り、各段階において重点管理項目を定めて計画、遂行、統制する仕組みである。
フェーズコントロールを行うことで、プロジェクトの現在置かれている状況が冷静に分かり、その時々で何を行うべきかが浮かび上がり行動を起こすことができる。その行動の積み重ねにより、順調なプロジェクト遂行が期待できる。
まずは各フェーズにおける重点管理項目を、的を絞って明確にし、それに即した計画、遂行、統制を行う。
フェーズ転換期は、重点管理項目が変わるので、フェーズコントロールに対する心構えも意識的に切り替えねばならない。
各フェーズの対象期間・重点管理項目・心構え
(1)Set-upフェーズ
対象期間
Set-upフェーズは、受注の目途が立ち、契約前先行作業を開始する時点より、契約締結を経て、プロジェクト遂行方針が設定され、組織、配員計画が済み、コアメンバーが配員され動き出す。
プロジェクト開始からおおよそ3か月の期間であり、客先とのVerification/Clarificationが済み、プロットプラン及びP&IDが3Dモデルの配管レイアウト用に発行され、最初の引き合いも開始し、建設計画も開始される時期である。
重点管理項目
三大重点項目は、以下の通り。
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遂行体制の確立。
-
遂行計画の立案。
-
円滑な立上げ。
Set-upフェーズはPMTが最も多忙な時期である。PMTがいかに知恵と工夫を凝らし手際よく作業を進め、必要なら会社の支援を仰ぎ、プロジェクトを円滑に立上げるかが重要となる。
心構え
何事も初めが肝心なので、プロジェクトが円滑に立ち上がり遂行されるようセットアップに気を配る。遂行体制においては常にFront Loadを心掛け、必要なマンパワーは早急に入れる。遂行計画においては、周知徹底し混乱のないスタートを切る。
(2)Build-upフェーズ
対象期間
Build-upフェーズは、プロジェクト遂行計画に基づきプロジェクトメンバーの動員が加速され、設計が進み、全ての主要機材が発注され、建設は仮設工事が開始されている時期である。
プロジェクト開始からおおよそ7–9か月であり、3Dモデルで、配管レイアウトの開始時点より、1st (30%) モデルレビューが完了してプロットプランが確定し、生産に向けた設計情報のやり取りが活発になる頃までの期間を対象とする。
重点管理項目
三大重点項目は、以下の通り。
-
計画通りのプロジェクト遂行の確認(図書発行、レビュー、発注、動員、など)。
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初期発行図書の品質確認。
-
生産準備状況の確認(懸案事項、変更の可能性の有無、漏れや落としの確認など)。
Build-upフェーズは、基本方針の修正や改善を行なえる最後のフェーズである。もし、問題や変更があれば速やかに対応策を取ること。
心構え
プロジェクト遂行基本方針に従い、意図したことがその通り実施されるよう、プロジェクト関係者に周知徹底する。徹底では、単に会議での伝達や、書類の通知だけでなく、意図することがその通り実施されているかを見届ける。
修正、是正の最後のチャンスであるので、計画との差異や品質の不備が見られた場合には、速やかに対応策を取り先手を打つことでProductionフェーズでの混乱を防ぐ。
(3)Productionフェーズ
対象期間
Productionフェーズは、設計と調達は動員がピークが続きハイワークロードが暫く続いてからピークアウトするまで、建設工事は開始から動員のピークを迎え、配管の50%が据えつく時期である。
このフェーズの終盤にはプラント引渡しが見通せるようになり、現場管理がエリア管理からシステム管理へと移行準備を開始する時期である。
重点管理項目
三大重点管理項目は、以下の通り。
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設計におけるワークフロントの確認(設計情報、Vendor情報)。
-
建設におけるワークフロントの確認(工事用図面の出図、機材の出荷)。
-
生産性と品質の常時モニタリング。
Productionフェーズは動員がピークを迎え生産が活発化する段階であるので、あらゆる努力を、生産性の向上と品質の確保に努めなければならない。
設計もFC図を出し切り、調達も建設に必要な機材を全て現場に送り届け、デモビを進められるようにする。工事手順及び優先順位に沿って、出図及び出荷が為されているか否か常に監視しなければならない。
心構え
揺るぎ無い根気強さで最後まで設計と調達の生産を見届け、完了させる。建設では、ワークフロントの確保を念頭に、足りないものがあれば奔走し確保に努める。このフェーズにおけるミスは、影響が広範囲に及ぶため、ミスに対しては波及範囲を速やかに特定し対策を取り、確実なフォローを実施する。
(4)Close-outフェーズ
対象期間
Close-outフェーズは、工事完了を経て、プラントを客先に引渡し、Provisional Acceptanceがなされるまでの期間である。
重点管理項目
三大重点管理項目は、以下の通り。
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残作業の洗い出しと徹底的な潰し。
-
問題点の早期発見に努め、先手を打ち処理していく。
-
プラントの客先への円滑な引渡し。
Close-outフェーズでは、隠れていたエラーや不具合が表面化する時期である。原因の探索、修正、調整、変更等に最も負荷が掛かるが、時間的な制約もあり、あらゆる手を尽くしてやりきる他ない。
客先及びコントラクター双方共々満足する状態で、プラントを完成させ、客先へ引き渡すことが出来るよう、追い込みをかける、最終段階である。
心構え
『不撓不屈』をモットーに、完成が見えても決して気を緩めることなく、作業落としがないことを確認しながら、根気強く残作業を潰していく。たとえ難局に直面しても、決して諦めずに執念を燃やして、困難を乗り越え、プラントを客先へ引渡し、暫定検収に導く。
(5)Assessmentフェーズ
対象期間
Assessment フェーズは、プラントを客先に引渡し、Provisional Acceptanceされた時点より、Warranty Period満了で本検収(Final Acceptance)が為されて契約完了となるまでの期間である。
重点管理項目
三大重点管理項目は、以下の通り。
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As-Built図書の完了。
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プロジェクト実績データの整理、総括。
-
アフターセールスサービス。
プロジェクトから、何を学んだか、総括し、失敗が有ったら、同じ失敗を二度と繰返さないよう、抜本的な対策を立てねばならない。反省と思索の無い所に、成長、進歩は期待出来ない。
また得られたLL(Lessons Learnt)が全社的に活かされるよう、然るべきアクションをする。
締め括りを付け結果を味わうこととなる。
心構え
『経験伝達』をモットーに、失敗又は成功の教訓及び実績データを共有し、将来の見積およびプロジェクトに活かせるようにする。
5.他部門での応用
上記のプロジェクトフェーズ分けやフェーズコントロール手法は、専門部のLEが行う業務に対しても同様に適用できる。例えば、エンジニアリング作業をとっても、更に細かい単位では、装置エンジ部内の一連の作業をとっても、上記の1から4のフェーズを当てはめ、作業を計画、遂行、統制することは可能である。
一例として、ISO発行作業に四つのフェーズを当てはめ、以下に行うべき作業を洗い出してみる。
-
Set-upフェーズ
ISO発行計画の作成。スケジュールや配員計画、作成手順書やステータス管理手法を決定する。 -
Build-upフェーズ
ISO 作成を開始し、作業が計画通りに行われているか、人員に不足はないか、図面品質に問題がないか否かを確認する。作業に問題があれば、計画を修正し、人員補強やスケジュールの見直しを行う。 -
Productionフェーズ
ISO作成を円滑かつ効率よく行い、スケジュールに沿って出図する。このフェーズで発生する問題はその影響が広範囲に及ぶので、メンバー間の連絡を密にして、問題と解決策は即時共有する。 -
Close-outフェーズ
出図に見落としがないか注意しながら作業を完了させていく。また、ホールド付で出図されたISOについては、建設工事に支障が出ないよう、ホールド解除をタイムリーに行う。
ピークを越えたという気の緩みから、作業がずるずると遅れないように、出図スケジュール厳守に気を引き締める。
上記のように、各自が行っている一連の作業に、プロジェクトフェーズやフェーズコントロール手法を取り入れることで、その時々で自分が何をすべきかが見えてくる。
6.最後に一言
プロジェクトを単一のフェーズで漠然と捉えるのでなく、いくつかのフェーズに区切り、フェーズ毎に計画、遂行、統制することにより、その時々で何を行うべきかが見えてくる。
フェーズ毎にプロジェクトの重点管理項目が異なるので、フェーズに応じた心構えが必要となる。
プロジェクトフェーズ分けやフェーズコントロール手法は、5章で述べたように、あらゆる部門における一連の作業にも適用できる有効なツールなので、現在行っている作業に活用されることが望まれる。
2. チーム力とは
1. 基礎知識
組織やチームに関する用語は、文献や辞書によって定義が揺れやすい。本ガイドでは、以下のように用語を整理する。
-
「集団」
単に人が集まった状態を指す。 -
「チーム」
一定の目的の達成を目指し、協働して仕事に取り組む人の集まりを指す。 -
「組織」
目的達成に必要な機能を担う人(あるいはチーム)の集まりを指す。
1.1 集団とチーム
優れたプロジェクトでは、単なる「集団」としてではなく、「チーム」として機能することが求められる。
チームでは、全メンバーが共通の目的に向かって活動し、個々人の力の単純な総和を超える成果を生み出すことが期待される。その結果、個人の能力だけでは届かない大きな目標の達成が可能となる。

1.2 組織とチームの関係
組織とチームの関係は、一般的な図解では階層構造として示されることが多いが、実務上、明確に線引きすることは難しい。
プロジェクトの全体像を一つの「組織」と捉えれば、Engineering、Procurement、Construction といった各EPC機能を「チーム」と見なすことができる。
一方で、Engineering を一つの「組織」と捉えれば、その内部にあるプロセス、シビル、機器、装置などの各設計部門を「チーム」と呼ぶこともできる。
このように、何を組織単位とし、何をチームと呼ぶかは、プロジェクトの切り取り方によって変化する。

2. プロジェクト組織とは
2.1 プロジェクト組織
プロジェクト組織は本質的に非定常である。
プロジェクトの規模、顧客の要求、社内のリソース状況、プロジェクトマネージャーの方針などによって、組織の大きさや構成は大きく変わる。また、プロジェクトの進行に伴い、組織の形やメンバー数が時間軸に沿って変化する点も特徴である。
さらに、仮に組織図が同じに見えたとしても、個々のプロジェクトで付与される役割や権限は異なるため、「完全に同じプロジェクト組織」は実質的に存在しない。
2.2 役割分担の柔軟性
どのプロジェクトも「同じ組織」は存在しない一方で、チーム内の役割分担に一定の柔軟性を持たせることが重要な要素となる。
図中の三角形全体がプロジェクト組織として遂行すべき仕事を表し、内部の区切られた枠が個人またはチームの役割領域を示すイメージである。

一般に、チーム内の役割分担は Job Description(職務記述)として明確に定義されることが多い。ただし、プロジェクトでは仕様変更や突発的なトラブルが頻発するため、Job Description を過度に固定してしまうと、状況変化に対応しづらくなるケースも少なくない。
Job Description をある程度曖昧なままにし、状況に応じて柔軟に役割をスライドさせることで、次のような効用が生まれる。
-
変更やトラブルに対する迅速な対応
-
メンバー同士が界面(インターフェース)領域に積極的に関与し合う文化の形成
-
「お互いにカバーし合う」ことを前提とした組織風土の醸成
こうした組織の強みは、想定外の問題が日常的に生じるプロジェクト環境において、組織図の枠組みに縛られず、課題解決とチーム貢献を優先して動く個々人の意識の高さとして現れる。
以下で、明確な役割分担と柔軟な役割分担、それぞれのメリット・デメリットと、組織が機能するための条件を整理する。

3. チーム力を高める条件
プロジェクト組織で高いチーム力を発揮することは、決して容易ではない。
その理由は明確で、多くのプロジェクトでは限られた準備期間の中で組織が編成され、互いをよく知らないメンバー同士が、いきなり一つのチームとして機能することを求められるからである。
このような環境下で差を生むのは、柔軟に役割を補完し合い、自ら率先して問題に踏み込む文化を持てるかどうかである。問題を前にして「誰かの仕事」と切り離さず、「自分たちのチームの課題」として抑え込みに行く姿勢が組織の強さになる。
この前提を踏まえ、チーム力を高める条件を以下の五つに整理する。
3.1 チーム力を高める五つの要件
① 共通目的
目的や方針が明確に定義され、全メンバーに共有されているか。
その目的に対して、各自が自律的に目標を設定し、行動に落とし込んでいるか。
② 協働意志
プロジェクトが「お互いに助け合って遂行するもの」であるという認識を、全員が持てているか。
困っているメンバーに対して、チームとして支援する姿勢があるか。
③ 信頼関係
互いの能力を認め合い、信頼関係を構築できているか。
約束したことに対して責任を持って行動しているか。
④ 意思疎通
然るべき相手に情報が適切に伝わり、共通理解が形成されているか。
メンバー同士が積極的に対話し、情報共有を行っているか。
⑤ 役割分担
メンバーが目標達成に必要な能力やスキルを備えているか。
与えられた役割を自覚し、その期待に応える行動が取れているか。

チーム力の高い組織は、例外なくこの五つを高い水準で維持している。
逆に、いずれか一つでも大きく欠けると、チームは機能不全に陥りやすい。チームの現状を評価する際は、「なぜうまく機能しているのか」「なぜ機能していないのか」を、この五つの要素に分解して考えると原因が見えやすくなる。
3.2 リーダー
「組織はリーダーの力量以上には伸びない」と言われるように、リーダーが担う責任は大きい。
最強の組織、あるいは強いチームをつくり、維持していく原動力はリーダーにあり、強いチームと弱いチームを分ける分岐点は、リーダーの能力に大きく依存する。
リーダーは、チームがうまく機能していないと感じたとき、その原因をまず自分に引き寄せて考える必要がある。
そのうえで、前述の五つの要件を点検し、問題があれば速やかに打ち手を講じることが求められる。
また、チームメンバーから改善案が上がってきた場合には、それを批判や防御の対象と捉えるのではなく、真摯に受け止め、チームとして何を変えるべきかを考え、行動につなげる姿勢が重要となる。
3.3 チームメンバー
リーダーではないからといって、チームに関する責任をすべてリーダーに委ねてしまうのは適切ではない。
各メンバーもまた、自律的な主体として、前述の五つの要件を自分事として点検し、改善の余地があれば自ら動く姿勢が求められる。
特に、最前線の状況や他メンバーのコンディションを最もよく把握しているのは、多くの場合リーダーではなく現場のメンバーである。
チームが機能していない、あるいは問題が顕在化していると感じるのであれば、現状と問題点、そして可能な改善策を整理し、リーダーに伝えるべきである。
チームの問題は、気づいても黙ったままでは解決しない。問題を認識した時点で行動に移すことが、強いチームづくりの出発点となる。
4. まとめ
プロジェクトにおいては、「組織」と「チーム」の関係を理解し、各メンバーが共通の目的に向かって協力することが不可欠である。
非定常かつ変化の激しいプロジェクト環境では、柔軟な役割分担と強固な信頼関係が、想定外の問題を乗り越えるための鍵となる。
リーダーとメンバーがともに自律的に行動し、コミュニケーションを密に保つことで、環境変化に強いチームをつくり上げることができる。
その結果として、プロジェクトは高いパフォーマンスを発揮し、組織全体の競争力向上にもつながっていく。
コンクリートとモルタルの違い。それぞれの特徴と用途
2024.1.8
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
==
コンクリートとモルタルの違い。それぞれの特徴と用途
セメントは、コンクリートとモルタルに共通して使用される原料で、建築材としてはセメント単独で用いられることはありません。
コンクリートとは、セメント、水、砂、砕石・砂利を混合して作られる建築材料です。鉄筋を入れたコンクリートはモルタルより強度が高く、大規模な構造物でよく使われます。
コンクリートの材料から粗骨材を抜いたのがモルタルです。モルタルは漆喰と並ぶ左官材料で、住宅ではこちらの方よく使われます。
今回はセメント、コンクリート、モルタルの違いについて見て行きましょう。
セメントについて
セメントは、コンクリートとモルタルに共通して使用される原料で、見た目は灰色の粉です。一般的なセメントの主原料は、石灰石や粘土です。歯科用セメントなど例外はありますが、建築材としてはセメント単独で用いられることはありません。
コンクリートやモルタルを製造する際に、水と反応して、砂・砂利などを接着する重要な役割があります。
セメント自体にも、さまざまな種類があります。日本で一番生産されている(9割を占める)セメントは、ポルトランドセメントです。このほかに、混合セメント、エコセメントがあり、ポルトランドセメントにも多くの派生型があります。
コンクリートの特徴とモルタルとの差異
コンクリートとは、セメント、水、砂、砕石・砂利を混合させて作られる、建築・土木材料です。砂や砕石・砂利を骨材と呼びますが、これは構造を保つ「骨」の役割があるためです。
砂は細骨材、砕石・砂利は粗骨材と呼んで区別します。品質改善の目的で、混和材と総称される材料を加えることもあります。これには火力発電所の廃棄物であるフライアッシュなど、何種かあります。
コンクリートはたいてい、生コン工場にある一連の製造設備で生産され、途中で固まらないよう専用の生コン車(俗にコンクリートミキサー車)で施工現場まで運搬されます。
コンクリートは、成形の容易さにくわえ、圧縮力の大きさ、すぐれた耐久性や耐火性を備えているため、橋梁のような巨大公共建築物からマンションまで、多種多様な構造物で使用されています。
現代の再建された大阪城や、難工事で知られる黒部ダムもコンクリートが主体の構造です。引張力が弱いというウィークポイントがあるため、鉄筋で補強します。くわえて、重い材料であるため、構造物が自らの重みで崩壊しないよう設計する必要がある点、養生時に水分が蒸発して抜けていくときクラックが生じやすい点、簡単には壊せない(重機やダイナマイトが必要)点もデメリットです。
シェアは大きくないですが、コンクリートは住宅用建材としても使われます。多くの人は、「コンクリート住宅」ときいて、コンクリート打放しの住居を思い浮かべるでしょう。
同時に、外壁は雨だれとカビで黒ずみやすく、室内は寒くて結露しやすいというイメージもお持ちかもしれません。一昔前のコンクリート打放しは確かにそういう面もありましたが、今はウレタンフォーム断熱材、アクリルシリコン塗装、24時間換気システムによって、そういった問題は解決されています。
卓越した耐震性から、いくつかの住宅メーカーは、コンクリート住宅の開発に力を入れています。
モルタルの特徴とコンクリートとの差異
モルタルとコンクリートとの材料面での違いは、粗骨材があるかないかです。
モルタルは、骨材として砂しか使いません。モルタルは漆喰と並ぶ左官材料で、鉄筋は使いません。
モルタルの製造方法には、コンクリートと同じように工場で生産する方法と、施工現場で職人が調合する方法があります。
前者はプレミックスモルタルと呼び、均質な製品が出来上がりますが、値段が高めで、現場の個別的な要望に応えにくいというデメリットがあります。
施工現場で調合するモルタルは、安価でその場のニーズに合わせた製品が作れる反面、品質にムラが出やすくなります。現場では、空練りと水練りの2つの工程を経て、モルタルを作ります。空練りは、セメントと砂をシャベルで混ぜ合わせる作業で、これに水を加えて練り合わせるのが水練りです。
コンクリートと比べれば強度は劣るため、大掛かりな建造物では補助的な出番しかありません。土木の分野で目立つ活躍をしているのは、がけ崩れ防止に斜面をモルタルで覆う吹付工くらいでしょうか。
そのかわり、住宅では多彩に活用されています。外壁がその代表例ですが、内壁でも使われますし、床やベランダ、セメント瓦、タイルの下地・接着剤にも使われます。サッシとサッシ開口の間を埋める「トロ詰め」など充填材料としても活用されています。
レンガ接着用の石灰モルタル、コンクリート構造物補修用の樹脂モルタルといった派生型もあります。
コンクリートとの差異でもう1つ大きな点は、住宅外壁でコテや刷毛を使ったテクスチャーを形成することができることです。種石洗い出しのような繊細な意匠も、モルタルならではのものです。
「防爆」とはどういうことでしょうか?
2024.1.8
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
==
防爆
防爆とは、一般社会生活では使われない言葉ですが、化学産業などでは重要な専門語で、爆発や火災を防止する事を言います。
クリーンブースは最近フィルム・ライン等の需要が増加しており、このようなときに防爆が重要な要素となります。
爆発や火災は、可燃物があって、着火源があって、可燃物に火が着くと発生します。したがって爆発・火災を防止するには、
- 1.電気火花等の着火源と可燃物が共存しないようにする
- 2.着火源の着火能力を抑える
- 3.可燃物の発火能力を抑える
- 4.爆発・火災が発生しても、それが他に影響しないようにする
しかし現実には動力の素となるエネルギーは電気によるものが多く、これらの要素を具現化するのは困難です。
防爆構造の種類
- ①耐圧防爆構造(d)
・・・全閉構造で爆発に耐える耐圧容器に収納する(ゴツイものになります) - ②油入防爆構造(o)
・・・アーク発生部を絶縁油中に収納して火花が引火しないようにする - ③内圧防爆構造(f)
・・・容器内に保護気体を封入し続け、内部が陽圧になるようにして外部から引火性ガスが入り込まないようにする - ④安全増防爆構造(e)
・・・火花や局部的高温を防止するための安全度を増加させた構造 - ⑤本質安全防爆構造(i)
・・・公的機関が安全と認めた構造 - ⑥特殊防爆構造(s)
・・・上記以外の公的機関が安全と認めた構造
防爆の要素
- ①爆発性ガス
・・・危険度に応じて爆発等級と発火度を定めています - ②爆発等級
・・・1、2、3a、3b、3c、3d - ③発火度
・・・G1、G2、G3、G4、G5、G6 - ④危険場所
・・・0種場所、1種場所、2種場所
基本的な配管のサイズと単位について
2024.1.6
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
==
"やさしい実践 機械設計講座"の 配管1
配管は正直、ややこしい、勘違いしやすいので気を付けましょう。
配管のサイズを表す単位はインチを基本とし、1/8、1/4、3/8、1/2、3/4、1” のようにあがっていきます。
また、これを工場特有な呼び方があり、小さい順に、イチブ、ニブ、サンブ、ヨンブ、ロクブ、インチ、と呼びます。
基本はあくまでもインチなのですが、パイプなどはミリで呼ぶ場合もあります。
たとえば配管用炭素鋼管(SGP)で呼び A20 と B3/4"は同じ物です。
最初のAグループはミリで内径を表していて、後のB3/4"は内径の 25.4mm X 3/4 = 19.05mm を表しています。 正確にはこの鋼管は外形27.2mm 内径 21.6mmです。
また、これもよく勘違いするのですがホースの呼び番号で10とか12で呼ばれている物で、これはmmを表しますが樹脂製ワンタッチチューブとゴム系のホースでは、前者ワンタッチチューブが外形を示すのに対し、ゴム系ホースは、内径を示します。 チューブを使用するときには、注意が必要です。
いずれにせよ 呼びは、あくまでも呼びと理解し詳細寸法が必要なときには、カタログを見るようにしてください。
配管用ネジは専用の規格があり 以下に示す。 ネジ部が平行の物と1/16のテーパー付きの物がある。
基本的な組み合わせは、
めねじ平行ネジ + おねじテーパーネジ
めねじテーパーネジ + おねじテーパーネジ になります。
市販のバルブ、シリンダーは、通常 めねじテーパーで Rcと記述されていて これは JIS 表の Rと同じである。 しかしほとんどの空圧機器メーカのカタログにはRcと記述してあり、私もこちらの方がしっくりくるので、ここではRcと記述していくことにします。
比較的小さなめねじは普通のメートルネジで代用される場合も多くある。 (M5以下の場合)
なぜネジがテーパーになっているかと言えば、流体の漏れを防ぐためで、テーパーなので強くねじ込めば隙は無くなる。 しかしこの為、管の長さをそろえることが非常に困難になり、締め加減で長さが変わってしまう。 単管であれば問題ないが2,3本と同じ物が並ぶときにはこの長さを合わせるのに熟練した技能が必要となる。
管用平行ネジサイズを示す。
管用テーパーネジサイズを示す。 単位mm
下記に管用テーパーネジ下穴径を示します。
現在では、上記2種類の管用ネジが主流です。
これ以外に PF(管用平行ネジ)、PTネジ(管用テーパーネジ)という物があります。
PF => G 、 PT => R, Rc と考えてください。 たとえば PT1/8 = Rc1/8 で、同じネジです。
PTネジの規格表にはRcに無い規格も含まれています。
以下参考表です。 網掛けのない箇所は PT規格にのみ存在します。
また、インチ系のネジなのに、さらにアメリカ独自のネジ NPTと言う物が存在し、これはRcと互換性がありません。 よくRcネジを使用できないかと言われますが 1インチあたりの山数(ピッチ)が違いますので 残念ながら使用できません。 あまり聞き慣れないだけで入手もさほど困難ではないと思います。
注意が必要です。 アメリカで使用される管用ネジは、すべてNPTになります。
下記に 規格表を示します。
代表的な金具(継手)を 以下に示します。
配管継手の接続
各機器の接続口に管や継手を接続するときは、必要以上に締めすぎないようにする。
締めすぎると破損し、空気漏れの原因となる。
ブラッシング
配管・管継手などは、配管する前に圧縮空気を吹き込んで清浄にする。
配管は、内部に ほこりや錆などが残ることが多く、必ずこれを除去してから使用する。 そのままで配管す ると、機器の中にほこりや錆が流れ込み、トラブルの原因になる。
シールテープ
配管する際にシールテープを使用するが、このシールテープの巻き方が悪いと空気漏れ を発生させ、またシールテープの切れ端が機器に入って動作不良を起こす。
巻きつけ方向 に注意し、ねじの先端を一~二山残してシールテープを一~二重に巻き付け、爪先で押さ えてねじに密着させる。
液状のシール材を使用するときは、やはりねじの先端から一~二山残して、多すぎない ように注意しながら塗布する。
機器のめねじ側へ塗布してはならない。
また圧縮空気は、 シール材の硬化時間を待って投入する。
ねじ込むときにシールテープが ちぎれ、機器に入って空気漏れ などの原因になる。
配管2 |
"やさしい実践 機械設計講座"の 配管2
配管のコンダクタンス
配管についてもコンダクタンスの考え方を適応して流量特性を考えることができる。
管内径d[mm]、管長さ L[m]の配管の有効断面積 S[mm2]は次式で求められる。
実験的係数のλ[一]は管摩擦係数といい、
実際の使用上はグラフデータより判断するとが便利である。
鋼管配管の場合には継手の影響が大きく考慮する必要があるため、鋼管配管用管継手の相当直管長さグラフから継手の相当直管長さを求めて、配管長に加える。
(配管長) L =(配管の実長)+(相当直管長さの総和)
樹脂チューブ 有効断面積 鋼管 有効断面積
コンダクタンスの合成
空気圧システムはバルブ、継手、配管など複数の機器が接続されて構成されるので、ある配管系の総合能力を構成機器のコンダクタンスの合成値として把握するのが便利である。
圧縮空気の流量・圧力降下などの算出に用いられる。
1)合成の計算
直列接続と並列接続に分け、コンダクタンスC1、C2、C3 ...の合成値 C [dm^3/(s・bar)]は、次の簡易式で求められる。
直列接続(圧力降下が小さい場合)
並列接続
2)システムの合成
典型的な例を図に示す。 同じコンダクタンスを2つ接続すると合成値は1つの場合の約8割に減少し、2:1のコンダクタンスの機器を2つ接続すると合成値は小さい方の約9割に減少するというような性質である。
システム構成を有効断面積から考慮すると、直列のうち、一番小さいコンダクタンスを持った機器をマークすることがポイントになる。 また接続する機器数が増加すると、合成結果は小さくなる。
空気圧システムの多くはこの直列接続である。
例1
コンダクタンス1.8dm^3/(s・bar)と2dm^3/(s・bar)の機器を直列合成したときの合成値は
となる・
例2
シリンダの応答を改善するためには、どの機器を改善すれば最も効果が大きいか。
このシステムではコンダクタンス最小の速度制御弁が機器の中で一番小さな 有効断面積である シリンダの応答はこの合成値に関係するので、速度制御弁を変更することがシリンダの動作改善に最も有効になる。
となる。
空気圧配管の圧力降下
空気は油などに比較して格段に流れやすいが、やはり粘り気を持っている。
このため配管の中を流れるときに摩擦抵抗が生じ、圧力が降下する事になり、その割合は流量の値や配管内面の粗さによって異なる。 またティーによる分岐やエルボ等の曲がり部などいずれも圧力降下を生じるため、注意が必要である。
システムを構築する場合、フィルタや他の機器によって圧力降下を生じるが、配管部分の降下も考慮しておかないと末端で必要とする圧力を確保できない場合が生じる。 特に供給配管に用いられる配管用SGP(スケジュール40鋼管)については、管の内径と管の長さから圧力降下を直接求める形の次式が便利である。
これは圧力降下がそれほど大きくない亜音速流れ
の範囲に適用する。
Lには、管継手などの相当有効長さを加算する。
式の係数 2.466 X 10^3 / d^5.31 式の係数を下表に一覧にする
例1
鋼管2B(50A)、長さ100mで上流側圧力0.7MPa、流量15m^3/min(ANR)のときの下流側圧力は 表より
係数 2.466 X 10^3/ d^5.31 は 1.740 X 10^-6
= 0.0489MPaとなる。
例2
鋼管1B(25A)、上流側圧力0.5MPa 、流量 5M^3/min (ANR) を流す場合
長さ10mあたりの圧力降下は
係数 2.466 X 10^3/ d^5.3は 5.505 X 10^-5
= 0.023MPaとなる。
日本が天然ガスを高く買わされている3つの理由
2024.1.6
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
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日本が天然ガスを高く買わされている3つの理由
2013年1月 9日
今、全国各地の電力会社が電気料金を値上げしようとしています。
その理由は、原発が止まったからですね^^;
現在稼働している原発は、全国でも福井県にある大飯原発3・4号機だけです。
今まで原発で発電していた分は火力発電所で発電しています。
火力発電所で発電するなら、必要なのは石油や天然ガスなどですね。
資源が少ない日本は現在、外国からたくさんの燃料を輸入していて、原発停止を機にさらに燃料の輸入が増えたので、電気料金も上がるわけです。
そして、火力発電所で今多く使われているのは、石油ではなく天然ガスだということをご存知でしょうか?
しかも、日本は世界の中でも天然ガスを高く買われているんです。
こういう問題もクリアしていかないと、原発停止を叫んでも電気料金は高くなる一方ですし、結局は現実性を考えて「原発との共存」という方向に行ってしまうかもしれません。
天然ガスとは?
日本がどういう経緯で天然ガスを高く買わされているのか説明する前に、
そもそも「天然ガス」とは何なのか?というところからおさらいしてみます。
「天然ガス」というのは主にメタンガスのことです。
燃やしても比較的二酸化炭素の排出が少ないことから、火力発電では近年、石油よりも天然ガスの方が多く使われています。
天然ガスはだいたい石油と同じ所に埋まっています。
その中でも地層の歪曲したところに溜まっていることが多いので、そのようになっているところを探すのですが、日本国内ではごくわずかしか存在しておらず、採算が採れるほどありません。
なので輸入に頼る必要があります。
ちなみに、「天然ガス」と「プロパンガス」は違います。
天然ガスは、取り出す時点で既にガスになっているので「天然」という言葉がつきます。
プロパンガスは人工的に作られるもので、原油を重油、軽油、灯油、ガソリンなどに分ける時に発生するガスのことです。
また、「プロパンガス」に対して「都市ガス」と呼ばれているものもありますが、これは実は「天然ガス」のことで、ガス管を通って各家庭に送られてきます。
主に都心部で使われているので「都市ガス」と呼ばれます。
今話題になっている「シェールガス」も天然ガスの種類の一つです。
天然ガスが高くなる理由1:日本に輸入する場合は液化が必要
天然ガスを輸入する場合、同じ大陸同士の国なら、輸出国から輸入国にパイプラインを引いて、そこからガスを送ります。
しかし、日本は海に囲まれていますので、パイプラインを引くのは簡単ではありませんね^^;
ではどうやっているのか?というと、一度液体にしてタンカーで運んでいるんです。
採掘場で取り出した天然ガスを、現地の液化プラントに運び、圧力をかけてマイナス160℃まで冷たくすると液体になります。
そうやってできた液体の天然ガスをLNGと呼ぶのですが、その段階で体積が600分の1になります。
それをLNGタンカーで運び、日本でガスに戻して各家庭に届けているわけです。
パイプラインで運んでいる国には不必要な"液化"という工程が入るので、その分値段が高くなります。
天然ガスが高くなる理由2:世界各地から分散して購入している
日本は天然ガスを世界各地から購入しています。
財務省貿易統計(2011年度)によると、主な輸入元は、
- マレーシア・・・18.2%
- カタール・・・17.2%
- オーストラリア・・・16.3%
- インドネシア・・・9.5%
- ロシア・・・9.3%
- UAE・・・6.8%
- オマーン・・・5.1%
- ナイジェリア・・・4%
となっています。
中東、東南アジア、ロシアなど、多岐にわたっていますね^^
通常、ものを大量購入する時は安くなるものですから、どこか1ヶ所から買った方が安くなるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、このように購入しているのは、リスク分散のためなんです。
たとえば、中東の情勢はよくコロコロ変わりますが、もしカタールなどどこか1ヶ所に頼っていた場合、そこに問題が発生したら輸入が全てストップしてしまいます。
こういうエネルギー資源は単なるものの売り買いと違って簡単に変えられませんから、あらかじめ分散しておいた方が良いんですね。
もし日本にも資源があるのならこのようにリスクに備える必要はないのかもしれませんが、現状はもしもに備えておかなければならない状態なんです。
天然ガスが高くなる理由3:日本は足下を見られている?
東日本大震災以降、日本の天然ガスの輸入量が増えていますが、実は輸入価格も上がってきています。
一般家庭で3ヶ月分の使用料を比較すると、アメリカと比べてその差は約4倍。
アメリカは現在、南米からパイプラインを通して輸入しているので、LNGで輸入している日本と比べるとその分の価格差はありますが、それにしても差がありますよね^^;
量が増えているのに、値段が上がるのはどういうことか?
これは、日本の原発が止まったことで、諸外国から「日本は天然ガスが必要だ」と足下を見られているんです^^;
3番目の問題は電力会社の交渉力の問題もあると思いますが、原発を動かさないままにするのなら、国内で利用可能な自然エネルギー関連の技術に力を入れることが必要でしょう。
特に、日本近海に存在するメタンハイドレートの採掘技術の開発も早く進める必要がありますね。
メタンハイドレートは今、取り出す技術を開発している段階で、今年は特に注目したい技術です^^
また、外国との交渉で天然ガスを安く仕入れる道も考えられています。
まず、アメリカからシェールガスを輸入するという案もありますが、TPPの問題と絡んでいて、アメリカが売ってくれるかどうかわかりません。
ロシアは日本に天然ガスを売りたがっているので、パイプラインを引いて持ってくるという計画も上がっています。
そうなると、実現するには時間がかかりますが、天然ガスのコストは安くなります。
そしてそこには北方領土問題が絡みます。
どれも難しい局面ですが、可能性はあります。
特にロシアの場合は北方領土問題の解決の糸口にもなるので、ぜひ政府には頑張ってもらいたいものです。
2013年は色々と動きがありそうですね^^