電線とケーブルの違いについて
2024.1.4
Happy new year.
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
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電線とケーブルの違いについて
実際にはもっとたくさんの分類がありますが、ここでは、電線・ケーブル(例:電力ケーブルと通信ケーブル)がどのように違うのかを実際の写真を見ながら解説したいと思います。
電線
電線は電気を通す目的で使用されるものの総称として呼ばれ、図1のように導体(電気を通す材料)を絶縁体(電気を通さない材料)で覆ったものを指します。
図1.電線について
ケーブル
次にケーブルですが、複数の電線を外装(外皮:シース)で覆い一つに束ねて、強度や絶縁の性能をアップしたものです。
外皮(シース)にはケーブル外側の被覆で絶縁体が濡れてしまったり傷んだりすることを予防する役割があります。
使用される材質はケーブルの種類や用途に合わせて適切に選択する必要があります。
図2は3本の電線を3つに束ねて外皮(シース)で覆ったタイプの電力ケーブルです。(電線の本数はさまざまです。)
図2.電力ケーブルについて
また、電力を送る以外で比較的身近にあるケーブルとして、LANケーブル(通信ケーブル)がありますが、これも電気信号を送るために使われるケーブルの一種です。
図3のようにLANケーブル(通信ケーブル)には8本の細い電線が組み込まれていることがわかりますね。
図3.通信ケーブルについて
種類と記号
電線及びケーブルには非常に多くの種類がありますが、その中で弊社でも取り扱いのある電線・電力ケーブル・通信ケーブルについて、表1にまとめて一覧表にしていますので、参考にしてください。
表1.種類・記号・名称 及び 用途について
種 類 | 記 号 | 名 称 | 用 途 |
---|---|---|---|
電線 | IV | 600Vビニル絶縁電線 | 屋内配線用 |
KIV | 電気機器用ビニル絶縁電線 | 盤内配線・機器用配線 | |
DV | 引込用ビニル絶縁電線 | 電柱からの引き込み用 | |
電力ケーブル | VVF | ビニル絶縁ビニルシースケーブル(平形) | 電灯・コンセント・他全般 |
VVR | ビニル絶縁ビニルシースケーブル(丸形) | 低圧引込等 | |
CV | 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | 幹線・動力・電灯・コンセント | |
CVT | 単芯3本より(トリプレックス)形架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | 幹線・動力 | |
通信ケーブル | AE | 警報用ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | 自火報設備P型の感知器 |
HP | 耐熱ケーブル | 非常放送設備・自火報設備幹線 | |
FCPEV | 着色識別ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | 構内通信回路・照明リモコン回路 | |
FCPEV-S | 着色識別ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルの遮へい付ケーブル | 構内通信回路のシールドが必要な環境で使用 | |
CVV | 制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル | 警報線等 | |
UTP | LAN用ツイストペアケーブル | LAN用 |
また、弊社ブログにさらに詳細なケーブルについての選定表が下記の通りございますので、ケーブルの選定の際にはぜひ参考にしてください。
電線とケーブルの基礎知識
ここでは、電線とケーブルに関する基礎的な知識について解説します。
導体の材質について
電線・ケーブルに使用されている導体については、そのほとんどを銅とアルミニウムが占めています。
また、建築物に使用されるいわゆる内線用としては、銅の導体が一般的と言われています。
銅とアルミニウムの特徴
ここでは銅とアルミニウムの特徴をまとめてみました。
表2.銅とアルミニウムの特徴について
銅の特徴 | アルミニウムの特徴 |
---|---|
・電気伝導率が非常に高く電気を通しやすい | ・一般には構内ケーブルには使用されず、送電線に広く用いられる |
・市販されている一般的なケーブルに導体として使用され、絶縁被覆で覆った電線や、シースで覆ったケーブルとして販売されている | ・金を除き銅についで電気伝導率が高く軽量である(銅の3分の1の重量) |
・銅の伝導率は万国電気工業委員会で標準とされこれを導電率100%としている | ・銅よりも密度が低く重量が軽いので長い距離を施設するのに向いている |
・電気精錬で得られる銅導体の成分純度は99.96%以上と高い純度である | ・酸化によって表面がアルミナ層で覆われ腐食に強い |
・銅は常温、乾燥空気中でほとんど酸化しない | ・銅よりも価格が安い(銅の1/3~1/2程度) |