実は身近なシール部品の違いと特性
2023.12.27
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
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実は身近なシール部品の違いと特性
機械や設備、部品などを陰ながら支えている
ガスケット とパッキン・・・。
この2つの違いとは何か?
よく使用される材質とその特性も
あわせて解説します!
特集:2014/09メルマガ
シールとは
シールとは、内容物の漏出防止や内部への異物の侵入を防止する部品(素材)のことです。
弊社ステンレス容器をはじめ、機械や配管、設備の接続部など幅広い分野で使用されています。
普段目にすることがあまりない部品ですが、自動車や家庭の機器や蛇口など、
実はとても身近なところで活躍しています。
シールの種類
シール部品の中でよく使われているのが、「ガスケット」「パッキン」「Oリング」などと呼ばれるものです。
しかし、同じ部品でも「ガスケット」と「パッキン」の2つの呼び方をする場合があります。
なぜ呼び方が違うのか?と疑問を持つ方もいるかと思いますが、
実はこの分類分けにはちゃんとした理由があります。
ガスケット…固定用シール
ガスケットはシールの中でも部品や配管などの接続部(静止部分)の密封に使用されるものです。
ガスケットを接続部の間に挟めてボルト等で固定し、接続部の隙間を塞ぐことで
内部を通る流体の漏出や異物混入を防止します。
接続部に合わせた様々な形状・厚み・材質があります。
漏出やガスケットの劣化を防ぐためには、使用環境や流体の性質と相性の良いガスケットを選定する必要があります。
例)フランジ用ガスケット
接続部の間に挟みシールします
フランジ例
その他のガスケット
シールテープ
材質は耐熱性・耐薬品性に優れたPTFEです。
「シール用四ふっ化エチレン樹脂未焼成テープ」 とも呼ばれ、
白色で薄いテープ状のガスケットです。
ネジやバルブを取り付ける際、ネジ山などに巻き付けて
取り付け(ねじ込み)します。
液状ガスケット
液状なので一般的な固形のガスケットに比べ、厚みの計算などが不要です。
塗布面の状態や液の性質など、使用環境に最適な材質を選定します。
パッキン…運動用シール
(※弊社では、弊社容器に使用されているものをパッキンと呼んでいます。)
パッキンはシールの中でも繰り返し着脱したり、回転や往復運動などの部分の密閉に使用されるものです。
装着部分や目的に応じて非常に様々な種類があります。
パッキンの中でも運動部分と接している場合は接触シールと呼ばれ、
機械部品のオイルシールやポンプ部品のグランドパッキンなども接触シールに分類されます。
上:パッキン例
下:断面図
ステンレス容器への
パッキン取り付け例
カラーパッキンの3大利点
混入対策
万が一、内容物などにパッキン片が混入しても色付きなので発見しやすい。
内容物管理がしやすい
内容物の種類や時期などに応じてパッキンの色を変えられる。
専用パッキン
色付パッキンをにおいの強いものの専用パッキンにするなどの
移香対策に使用する。
Oリング…ガスケットにもパッキンにもなるシール
主に部品などの溝に設置します。断面は円形です。
気圧や水圧などの圧力を利用して流体をシールする自封作用が特徴です。
Oリングは固定用と運動用のどちらでも使用されています。
ステンレス容器では加圧容器などに取り付けています。
一般的な蛇口にも使われているので、蛇口が水漏れしているときに
Oリングを交換したことのある方もいるかもしれません。
材質はNBR(ニトリルゴム)が最も一般的ですが、
使用環境や流体に合った最適な材質を選定できます。
上:Oリング例
下:断面図
加圧容器例
(フランジオープン型加圧容器)
蓋の開口部(本体側に溝)
Oリングの仕組み
①溝にOリングをセットする
②Oリングの反発力で内側にある流体がシールされる
③流体の圧力でOリングが溝に押し付けられ、よりシールされる
シールの材質
シール部品として使用されている材質(ゴムや樹脂)を紹介します。
シリコーンゴム -Silicone rubber- (弊社名:シリコン)
シリコーン樹脂のゴム状のもので、半透明なため様々な着色が可能。
シール材以外にも防振ゴムや製菓用などの型、電気絶縁用や人工心肺膜などの
幅広い分野で使用されており、私たちのとても身近にあるゴム材です。
◆特性◆ 耐候性や耐老化性、高い耐寒性
フッ素ゴム(FKM) -Fluorocarbon rubber-
フッ素含有のオレフィンを重合して作られる合成樹脂。
ロケット等のパッキンやポンプ部品、チューブやホースにも使用されています。
◆特性◆ 最も高い耐熱性を持つなど物理的性質に対して優れている
クロロプレンゴム(CR) -Polychloroprene rubber-
クロロプレンの重合により作られる合成ゴム。
天然ゴムに比べ耐候性や耐油性、耐薬品性に優れており、加工が容易なため、
ウェットスーツやベルトコンベヤーにも使用されています。
◆特性◆ 物理的性質や耐薬品性など平均した性質
ニトリルゴム(NBR) -Nitrile butadiene rubber-
合成ゴムの1つで引っ張り強度や耐摩耗性に優れている。
自動車をはじめとする工業用品やゴム手袋にも使用されています。
◆特性◆ 耐薬品性や耐摩耗性、耐老化性
EPT –EPM=Ethylene-Propylene copolymer rubber / EPDM=Ethylene propylen diene rubber-
合成ゴムの1つで、特に耐オゾン性、電気の絶縁性に優れている。
電線などの絶縁材料をはじめ、公園の遊具や地面などにも使用されています。
◆特性◆ 耐オゾン性、極性液体に対する抵抗性や電気的性質、耐候性
PTFE -Polytetrafluoroethylene plastics-
フッ素原子と炭素原子のみのフッ素樹脂で化学的に安定している。
耐薬品性に優れ、また最も摩擦が少ない(すべりやすい)物質で、
工業用品、フライパンのフッ素コート、東京ドームやスタジアムの
屋根にも使用されています。
成型は溶解での成型ができないため、粉末を圧縮・加温して成型します。
◆特性◆ 非粘着性、非濡性、耐熱性、耐薬品性など他の材質より優れている
その他
導電性シリコーンゴム
シリコーンに導電性材料を配合した合成ゴム。
他の導電ゴムに比べ耐候性や耐熱性、耐寒性などに優れており、よりクリーン性を求められる分野にも使用できます。
その他の材質
導電性フッ素ゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、天然ゴムなどがあります。
材質の選定方法
材質の選定を誤ると本来のシールの役割を果たせなくなるだけでなく、
早期劣化したり、異物混入の原因になる恐れがあります。
使用環境や接触する物質に適した材質を選ぶことが重要です。
また、使用場所によっては食品衛生法適合などの適合材質である必要があります。
食品衛生法
飲食による衛生上の危害の発生防止、公衆衛生の向上や健康の保護を目的とした法律。
飲食品だけではなく食品に関係する機械や容器、包装、表示など幅広い対象について適合基準等を規定しています。
特性で選ぶ
材質の持つ特性から選定します。
物理的性質、耐油性、耐溶剤性、耐薬品性など様々な特性から最適な材質を選定します。
特性一覧表
テストして選ぶ
シール部品の耐性や薬品などでの影響の有無を確かめたい場合はサンプルなどでテストをします。
例)
・接触する薬品のサンプルに、シール部品を浸す
・同じ使用環境を再現する etc・・・
シール部品の選定ポイント
・目的に合った最適な形状か(規格品使用 / 特注製作)
・接触する物質と相性が良い材質か(耐薬品性など)
・使用環境に適している材質か
ステンレス容器に最適なシール部品をご提案いたします
「どの形状や材質が一番適しているのか分からない」
「容器と一緒にオーダーメイドしたい」等
疑問や質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください!
製作した場合の金額等も無料でお見積りいたします!
ネジについて
2023.12.27
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
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ネジについて
ネジの目的は締結用と移動用の2種類に大別される
・・・三角ネジ
・・・(運動伝達用) 角ネジ、台形ネジ、ボールネジ 基本ネジとは構造が大きく違うところもありますので移動用に 関しては別途解説します。
主に上記の様に分けられるが、場合により三角ネジが移動用に、角ネジが移動及び締結を目的に用いられる事もある。
ネジの外観
ネジの種類はとても多く 機械でよく使用される物だけをあげてあります。
UNC/UNF ネジ寸法表はこちら
六角、六角穴付きボルト CAD DATA(DXF)はこちら
ネジの原理
右の直角三角形のa.b.c.の紙片を円筒に巻き付け1回転させると三角形の斜辺が円筒に沿ったらせん状になります。 このらせん状に連続して円筒に溝が掘られた物をネジといいます。
-> この三角形のθの角度のこと
-> ネジが一回転して軸方向に進む距離 右で行けば Lの距離
-> 円筒に一筋の溝で巻いていく物を1条ネジ、2溝 一緒に巻いていく物を2条ネジという
-> となりあうネジ山間の距離をピッチといい、1条ネジはピッチ=リードになる
右ネジ、左ネジ -> 時計回りに廻すと締まるネジを右ネジ(一般にはこちらがほとんど) 反時計回りに廻すと締まるネジを左ネジ(扇風機の羽根を止めているネジなど特殊な場合)
ネジの各部の名称は右の通り
ネジの呼びはオネジの外形で呼ぶ、外形が10mmであればM10のネジといいこのMはメートル法のMを示す。 日本では主にメートルネジを使用している。
メートル以外にユニファイネジ(インチネジ)があり記号Uで示し、インチ寸法である為呼びはインチの分数又は整数で示し、これにインチ当たりの山数をハイフォンを用いて記入する。
例)3/8-16UNC 並目ネジはUNC、細目ネジはUNFで示す。 ネジ山の角度は60°山の頂は平で谷部の形状は丸みが付いている。
ネジ山の形状を右に示す。
通常のネジは三角ネジである。
そのほかは特別な用途専用に使用されている。
-> 工作機械の送り(最近は少ない)
-> 摩擦抵抗が少ない、加工が面倒(ほとんど使用されない)
ノコ歯ネジ -> 一方向にだけ大きな力が加わるとき(ジャッキなど)
-> 転造品に多い(電球の口金)
ボールネジ -> 移動用
並目ネジと細目ネジ
ー般のボルトに使われているのは主に並目ネジである。細目ネジは並目ネジに比べてピッチが小さいので強度を必要とする場合、大径の場合、肉の薄い円筒形の場合等に用いられる。
欠点としては、ネジ加工の精度管理をしっかり行わないと逆に強度が並目より低くなってしまうおそれがあります。 たとえば規定値以上の大きな下穴加工をしてしまうと十分な谷が形成されず山が坊主になってしまいます。 また、カジリがでやすいので注意が必要です。
メートルネジの規格表を示します。
ネジのサイズは1欄から極力 選んでください。 それ以外は 通常使用されていません。
細目ねじはピッチを小さくしネジの長さ全長で接触する面積を多く取ることにより並目ネジより強度を増している。多くのシリンダーのロッド先端ネジが細目を採用している理由です。
並目と細目の強度比較を下記に示します。
おねじ長さとめねじ長さの関係は、簡略的にオネジの外形 X 1.2倍以上のめねじ深さを取ります。
これはめねじには、通常 口面取りが施されるためネジの有効長さが
減るために安全をみて1.2倍とします。もちろん メネジの材質にもよります。1.2はSS400を想定しています。 参考にほかの材質について表を下部に示します。この中の値は口面取りを考慮に入れてありません。
ネジの破壊は右のように二通り発生します。
おねじが破断する場
合、これは剪断力(横からの力)がかかった場合も起こります。
もう一方がネジ山が坊主になるケース。
これは多くの場合十分なめねじ長さが無かったときや、下穴が適正でなかった場合、または材質がもろかった場合などに多く起きます。
左のケースのCASE "A"の強度計算は単純でネジの谷径の断面積でかかる力を割ります。
M10のネジの谷の断面積は55.12mmなので最大許容荷重はこの断面積に材料の降伏点荷重をかけて安全率で割ることとなります。
ちなみにネジの安全率は通常 静荷重 3 、 衝撃荷重 12です。 従いM10のネジでSS400のネジであれば降伏点は25Kg/mm2ですから 55.12 X 25 / 3 = 459Kg(静荷重) 55.1 X 25 / 12 = 114.8Kg(衝撃荷重)となります。
CASE "B"の場合はやや複雑になります。
下の図に沿って一山あたりの剪断長さを求めます。
AB = (P/2) + (dp - Dc ) tan α / CD = (P/2) + (dc - Dp) tan α
とし、 オネジのネジ山が剪断破壊する荷重をWB 、メネジのネジ山が剪断破壊する荷重をWNとすると
WB = πDc . AB . zτb / WN = πdc . CD . zτn
で示される。 ここで z は負荷能力があると見なされる山の数、τb, τnはメネジ、オネジそれぞれの断破壊応力である。
断破壊応力は下の引っ張り強さとの比から算出する。
具体的に計算してみましょう。
M10 の有効長さ 10mmとした場合、山数は ピッチ 1.5mmなので 10/1.5で6.6
AB = (P/2) + (dp - Dc ) tan α = (1.5/2)+(9.026-8.376) X tan 30 = 1.1253
SS400の引っ張り強さ 400N/mm2ですから上の表より0.5倍とし約20.4Kgf/mm2とします。
WB = πDc . AB . zτb = π X 8.376 X 1.1253 X 6.66 X 20.4 = 4023Kgf でネジ山が破断します。
それぞれの安全係数は別途 かけます。
増し締めについて
増し締めというのは上の剪断破壊の山のメネジとオネジの三角山の間に右側に隙があります。
当然これが無ければネジは廻すことができません。
接触すべき側も全山均一に接触すれば良いのですが 機械加工の誤差などによりどうしても多少の隙ができてきます。
ネジを初めて 締めたすぐには この山の接触が不均一で あるところは強くあたり あるところは隙気味 にあたっているという状態ですが これが時間がたつと強くあたっていた箇所の変形が起こり なじんできます。
これをそのままに放置するとネジのゆるみの原因になるため 半日から1,2日おいた後に 再度、ネジを締め上げる作業を行います。 これを増し締めといいます。
ネジの書き方
ネジは通常 右のように単純化して図示をする。
オネジの書き方を右に示す。 外形は太線、谷の径を細線で示す。 外形は実際の尺度に合わせて書くが谷の径は厳密に書くと外形線と重なるときも多くありその場合はそれらしく判断が付くところまでずらして作図する。 ネジの境界線は太線で書き不完全ネジ部は細線とする。
メネジの書き方 内径は太線、谷の径は細線で書く。
平面からみた場合もオネジ、メネジとも太線、細線の使い分けは同じです。
メネジにオネジを挿入した時の製図
オネジを優先して書きます。 下の例では断面で示されていますので製図通則で断面で 軸類(ボルトを含む)は断面してはならないとなっていますので軸(オネジ)の線が優先されます。 (3D CADで断面を作成すると軸も一緒に断面してしまうため後で線を追加する必要があります。)
参考に小ネジの作図も示しておきます。
不完全ネジ部と逃がしについて
軸にオネジ加工をした場合軸の先端は面取りをします。
必要な長さまでネジ加工をしたあと バイトを逃がします。 そのときにできるのが不完全ネジ部です。
このようなネジは、正確にどこまでメネジが入るかわかりません。
メネジを軸の肩まで当てたい場合は肩の部分に首(逃がし)をつけてからネジ加工をします。
そうすることでメネジは不完全ネジ部が無いため最後まで進むことができ肩にあたり止まります。
基本的なネジの加工方法について
まずドリルでした穴をあけ、口面取りをし、その後 タップ加工を行います。このタップは要求精度により一度に加工していい場合と何回かに分けて仕上げていく場合があります。級の高いメネジは複数回タップを荒削り、仕上げタップのように使い分けて仕上げます。
タップ加工だけでなく穴加工は可能であれば通し(穴が突き抜ける)加工が望ましい。 切り粉の排出の影響によりタップが破損しやすくなり、破損した場合も取り除きやすい。
ネジの呼びについて
通常 ネジの呼びでM10といえばメートル並目の外形10mm 右ネジと判断されます。
後はネジの首下長さ、 ネジ部長さを指定し、ネジの頭の形状を指定してあげればほとんどの場合通用します。
逆にこれ以外の物を追記で書くと言うことは普通のネジではありませんと宣言するにも等しいです。
細目ねじは必ずピッチを書きます。細目と書いただけではいけません。
なぜかと言えば同じ外形でも違うピッチが何種類か存在するからです。
並目は外形が決まればピッチは1種類だけなのであえて書く必要はありません。
スパナのサイズは下のB寸法で 呼びます。
特殊頭ネジに関しては、ほとんどがネジ専門メーカー(またはミスミなど商社、最近 ミスミさんのカタログをみて全部ミスミで製作していると思っている人が増えているようで、ある意味怖いです)でカタログを出していますので その呼び方で注文することが多いです。 どうしてもそのようなカタログが無くJISの既定にある場合まれにJIS番号で手配する場合もあります。その場合には当然JISの呼び番号で呼びます。
詳しい 呼び 形状 などは 日本工業標準調査会 http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html のデーターベース検索で ネジで検索してください。
座金について
座金はボルト、ナットの座面と締め付け部との間に挟む板で使用目的は座面の保護、ネジのゆるみ止めである。一般によく使用されるのは、平座がねとバネ座金である。 バネ座金は、ゆるみ止めを目的としている。
バネ座金に関しては非常に多くの解釈があるようです。 以下あるWEBに掲載されたコメントです。
”締結ボルトは構造的にはそれ自体、バネと認識されています。
ばね座金を使うと、ボルトの堅いバネにフニャフニャのバネを重ねた状態になります。
堅いバネは、軸方向のわずかな変位で、荷重が大きく変化しますが、柔らかいバネは、軸方向に少しぐらい変位しても、荷重が大きく変化しにくい特徴があります。
これにより、部材の伸び縮みなどで緩んだときに、締結力が、完全に無くなるのを防ぎます。これが、ばね座金の機能です。
しかし、高度に振動が予想されるような機械では、締結強度や、部材、ボルトの疲労面から必要な締結力を計算し設定していますので、ばね座金が機能するまで締結力が減少したら疲労破壊につながるわけで、ばね座金があっても何の意味も無いことになります。これが、ばね座金を使わない理由です。” とあります。
しかし私個人の今までの経験からすると機械にもよりますがボルトの本数は膨大な数に上りなにも廻り止めをしないでおく勇気はありません。座金がふにゃふにゃと言いますがボルトが緩んだときに一気に緩むことを防止してくれます。なので私は使用推奨派です。
小堀設計さんHP"ばね座金の使い方についても非常に参考になりました。一度 のぞいてみてはいかがでしょうか
ネジのゆるみについて
ネジは必ずゆるむと言う認識を持ってください。 もともと 結合したいのだけれど 永久的に結合してしまうとメンテナンスとか運搬とかのために分解可能とするためにネジが使用されます。 ですから 当然 ゆるまないと目的を達成できません。
しかし 通常の時には緩んでほしくないと言う相反することを要求されています。 上のバネ座金などがその緩み止めの1手段です。 これ以外にも色々な考案がされています。
用途に応じて一番適した物を選択する必要があります。 もっとも確実な方法はワイヤーがけ、またはボルトを溶接することです。
ネジの使用方法
上記 "座金について"で示す図の上側の使用方法を 押さえボルト、 下側を 通しボルトと言い長短所をまとめます。
|
通しボルト |
押さえボルト |
長所 |
母材を痛めない |
ナット不要 |
|
加工が安価 |
タップ加工が必要 |
短所 |
ナット必要 |
母材を痛めた場合ネジ加工が再度必要 |
|
ナットを押さえて締める、ゆるめる必要がある。 |
スペース上有利 |
ネジの太さの選び方は、 できる限り 均等に締め付けられて 本数を少なくするのが基本です。
ただし 3本以下にするのは、特別な場合をのぞき 良くありません。 ”ネジは緩む”を忘れないように。
このケースの場合 一本のネジが十分で無いと振動、衝撃などにより1本ずつちぎれて最後にすべてが破損する事故が想定されます。従い 理想は a の太い4本です。 しかし 流体のふたなどの場合シール材が間にあり均一に押さえたい場合などは b を使用するべきでしょう。
部材の組み方
3枚以上の部材をボルトで締める場合は基本はそれぞれを 別々に締める必要があります。 同時に組んでしまうと 二つに組んだ状態を確認できない。 挟まれた部材に均一な締め付け力が働かないなどの 短所があります。
横方向の荷重に対する考慮
ネジはネジ山による接触圧力により部材を止めているだけなので極論を言うと
のようにボルトの上に締め付け力と言う重石を載せているにすぎません。
従い横からの力はこの重石で生じた摩擦力分だけが耐えられる力となります。
当然 部材がずれて 穴がボルトに接触した後は このボルトが剪断するまではこの部材はずれなくなります。
しかし それを期待して設計することはできません。
ボルトが均一に 複数本 同時に 剪断荷重を受けられるようには穴加工ができないからです。
このように横荷重が大きくかかる場合は 別途 ピンを施工するか下のように肩当てを作る必要があります。
ネジの締め付け力の計算excelを付けておきます。
ネジの締めつけトルクとメネジの限界長さ
適正な締めつけトルクは、ボルトの材質、メネジの材質、締めつけ工具、潤滑剤の有無などで大きく変わります。
締めつけトルク成分は、ネジ面摩擦40%,ネジリード部10%,座面摩擦40%に分かれます。
下に参考値を掲載します。
インチねじ規格表
2023.12.27
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
==
インチねじ規格表
インチねじである 「ユニファイねじ」 および、 「ウィットねじ」 それぞれの規格表を以下に記載します。
ねじの外径 |
ユ ニ フ ァ イ ね じ 規 格 表 |
|
|
ウ ィ ッ ト ね じ 規 格 表 |
|
|
呼び |
山数/1インチ当り |
|
呼び |
山数/1インチ当り |
|
|
UNC |
UNF |
|
W |
約1.5mm |
No.0 |
|
80山 (0.31mm) |
|
|
約1.8mm |
No.1(#1) |
64山 (0.39mm)★ |
72山 (0.35mm) |
|
|
約2.1mm |
No.2(#2) |
56山 (0.45mm) |
64山 (0.39mm)★ |
|
|
約2.5mm |
No.3(#3) |
48山 (0.52mm) |
56山 (0.45mm)★ |
|
|
約2.8mm |
No.4(#4) |
40山 (0.63mm) |
48山 (0.52mm)★ |
|
|
約3.1mm |
No.5(#5) |
40山 (0.63mm) |
44山 (0.57mm)★ |
W1/8 |
40山 (0.63mm) |
約3.5mm |
NO.6(#6) |
32山 (0.79mm) |
40山 (0.63mm)★ |
|
|
約4.1mm |
No.8(#8) |
32山 (0.79mm) |
36山 (0.7mm)★ |
|
|
約4.8mm |
No.10(#10) |
24山 (1.05mm) |
32山 (0.79mm) |
W3/16 |
24山 (1.06mm) |
約5.5mm |
No.12(#12) |
24山 (1.05mm) |
28山 (0.9mm)★ |
|
|
約6.3mm |
1/4 |
20山 (1.27mm) |
28山 (0.9mm) |
W1/4 |
20山 (1.27mm) |
約8.0mm |
5/16 |
18山 (1.41mm) |
24山 (1.05mm) |
W5/16 |
18山 (1.41mm) |
約9.5mm |
3/8 |
16山 (1.58mm) |
24山 (1.05mm) |
W3/8 |
16山 (1.54mm) |
約11mm |
7/16 |
14山 (1.81mm) |
20山 (1.27mm) |
W7/16 |
14山 (1.81mm) |
約12.6mm |
1/2 |
13山 (1.95mm)*1 |
20山 (1.27mm) |
W1/2 |
12山 (2.11mm)*1 |
約14.2mm |
9/16 |
12山 (2.11mm) |
18山 (1.41mm) |
W9/16 |
12山 (2.11mm) |
約15.8m |
5/8 |
11山 (2.3mm) |
18山 (1.41mm) |
W5/8 |
11山 (2.3mm) |
約19mm |
3/4 |
10山 (2.54mm) |
16山 (1.58mm) |
W3/4 |
10山 (2.54mm) |
約22.2mm |
7/8 |
9山 (2.82mm) |
14山 (1.81mm) |
W7/8‐9 |
9山 (2.82mm) |
約25.4mm |
1" |
8山 (3.17mm) |
|
W1"‐8 |
8山 (3.17mm) |
- 山(山数)とは・・1インチ(25.4mm)の中にあるねじ山の数のことです。
(例えば・・・9山の場合、1インチの中にねじ山が9個あります。 ミリに換算すると 25.4mm ÷ 9 でピッチが 2.82mm となります。)
- ★のついているサイズは、一般にはあまり流通していないサイズです。
- *1 ウィットとユニファイ、ネジ山角度が違うだけ!?
ウラワザなのですが、太さが同じで長さがそれほど長くないものでしたら、ユニファイでもウィットでも使えてしまいます!
ウィットネジの方が価格的にお安いので、これで間に合わせてしまう人も!
ですが、1/2 (ヨンブ) だけはネジ山数がウィットが12山、ユニファイが13山と違うため、絶対に合わせることができません!!
◆ ユニファイ規格(UNC/UNF)、ウィット規格の概要について
ユニファイ規格、ウィット規格の概要については、「トミモリ知恵袋」 内の 「ネジのねじ部形状について」 を参照
インチネジの呼び方
2023.12.27
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
==
インチネジの呼び方
表示 |
考え方 |
読み方 |
㎜に直した実寸(約) |
1/8 |
|
一分(いちぶ) |
3.175 |
5/32 |
1.25/8 |
(さんにのご) |
3.969 |
3/16 |
1.5/8 |
一分五厘(いちぶごりん) |
4.763 |
1/4 |
2/8 |
ニ分(にぶ) |
6.35 |
5/16 |
2.5/8 |
二分五厘(にぶごりん) |
7.938 |
3/8 |
|
三分(さんぶ) |
9.525 |
1/2 |
4/8 |
四分(よんぶ) |
12.7 |
5/8 |
|
五分(ごぶ) |
15.875 |
3/4 |
6/8 |
六分(ろくぶ) |
19.05 |
7/8 |
|
七分(ななぶ) |
22.225 |
1” |
|
(インチ) |
25.4 |
1”1/8 |
|
(インチいちぶ) |
28.575 |
《覚え方・考え方》
①基準は1”(1インチ)約25.4㎜です。
②1”の1/8が一分(いちぶ)=約3.175㎜です。
③1/8の2倍が1/4(にぶ)ですが、1/4=2/8と考えるとわかりやすいです。
④同様に5/16(にぶごりん)も5/16=2.5/8と考えるとわかりやすいです。
※㎜に直さないと実寸はわかりにくいのですが「1”=25.4㎜」これを覚えていれば
電卓を使えば簡単です。25.4を分母で割って分子を掛ければ良いのです。
例えば3/8では25.4÷8×3=9.525㎜となります。
ASME/ANSI フランジ寸法表
2023.12.26
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
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ASME:American Sosiety of Mecanical Engineers
和訳 米国機械工学会 アメリカ機械学会
ANSI:American National Standards Institute
和訳 米国国家規格協会
本項で扱うフランジ規格は米国でも ANSI ASME どちらの呼称でも
呼ばれているように内容は同じです。
ただし、外径などの寸法がインチで表示されている表がありますが、最新版では
寸法単位は mm ミリメートル表示になっています。
管フランジの寸法表 (ASME/ANSI B16.5-2003)
フランジ
2023.12.26
備忘のため、前職在籍時にOneNoteに記載していたメモを転記。
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フランジとは|管フランジ規格・材質や接続方法による種類・用途、レーティングなど
ここでは、配管材料・部品として用いられるフランジとはどんなものか、どのような用途があるかなど、フランジに関する説明や、JISやJPI、ANSIフランジ規格等のフランジ規格に関すること、フランジ材質の種類とは?、配管・パイプとフランジの接続方法の種類とは?、フランジフェイス面(フランジシール面)の形状種類とは?、レーティングとは?、など、フランジに関することを詳しく解説しています。
フランジとは?
フランジとは、配管継手の一種であり、パイプとパイプの接続や配管に繋がる機器類のノズルとの接続、バルブ・温度計・流量計器・液面計器などの各種計器との接続、或いはパイプの末端の閉止(閉鎖)などに使われる、つば状の配管継手のことをいいます。
フランジは、 スラリー(粉体)や粘性流体を扱う配管で、配管内部の詰まりなどのために配管を分解・取外してパイプ内部を清掃・メンテナンスする必要がある配管などによく用いられます。
一般に、フランジを用いた配管のフランジ接続は、ねじ込み接続に比べて、その漏れ・強度・作業性なども良好で信頼性もあり、分解・組立が容易であるなどのメリットがあります。
配管などの接続に用いられるフランジは、以下の図のように円盤、或いは円盤と円筒を組み合わせた形状になっていて、例えばパイプ同士を接続する場合には、円盤部分同士をボルト・ナットなどで締結することによって、パイプ同士を繋ぎ合わせます。
パイプとの接続方法の違いにより、差込み溶接フランジ(スリップオンフランジ)、ソケット溶接フランジ(ソケットウェルドフランジ)、突合せ溶接形フランジ(ウェルドネックフランジ)、ねじ込み形フランジ、遊合形フランジ(ルーズフランジ、ラップジョイント)などの形式があります。
※ここで説明するフランジとは、上述のような配管に使われる配管継手の一種としてのフランジになります。
広義の意味でのフランジとは、円筒形あるいは部材からはみ出すように出っ張った部分のことなどを総称して、フランジと呼ばれています。
配管継手としてのフランジ以外にフランジと呼ばれるフランジとは、以下のようなフランジのことを指していう場合があります。
H形鋼などのはり部材におけるフランジ
H形鋼のような梁部材(はり部材)に用いられる形鋼などの場合は、以下のH形鋼の例のように、フランジとウェブから構成されます。
上下に設けた水平の板要素がフランジとフランジどうしを結ぶ鉛直の板要素がウェブと呼ばれ、主にH形鋼におけるフランジは曲げモーメント、ウェブはせん断力に抵抗力として作用することにより、断面二次モーメントが大きくなり、曲げ剛性がアップします。
H形鋼のフランジ
車輪などにおけるフランジ
以下のような、車輪に用いられる部分にもフランジと称される部分があります。
・自転車用、オートバイ用、自動車用などの、タイヤがリムと嵌合する部分に用いられるフランジ。
・自転車などのハブにおけるフランジ。
スポークの取付用としてハブからつば状にはみ出した部分がフランジと呼ばれます。
・鉄道車両のフランジ。
鉄道車両の車輪がレールからはずれないようするために、車輪の縁に設けられた出っ張りがフランジと呼ばれます(下図参照)。
鉄道車両の車輪のフランジ
これらのフランジは、配管継手としてのフランジとは、全く用途や分野が異なったり、それぞれのフランジに関連性はあまりありませんが、いずれもつば状の形状をしているという点において、いずれも『フランジ』と言われます。
これらの各種フランジとは区別しないと混乱する場合などは、配管継手としてのフランジは、『フランジ継手』や『管フランジ』などと呼ばれます。
なお、JIS規格では、配管継手としてのフランジは、『管フランジ』という呼び名で規定されていますが、以降の説明で言うフランジとは、特に断りの無い限り、フランジ継手或いは管フランジのことを指します。
■ フランジを規定する場合の区分
フランジを規定する場合には、主に以下のような項目で区分することができます。
配管・パイプへの接続方法(取付方法)
フランジシール面(フランジフェイス面)の形状
フランジの材料・材質
フランジの圧力-温度基準(P-Tレーティング)
■ 配管・パイプへの接続方法(取付方法)によるフランジの種類
配管・パイプへのフランジの接続方法の違いによって分類すると、主に以下の種類のフランジがあります。
差込み溶接式フランジ(スリップオンフランジ:Slip-On Flange)
ソケット溶接式フランジ(ソケットウェルドフランジ:Socket Weld Flange)
突合せ溶接式フランジ(ウェルドネックフランジ:Weld Neck Flange)
遊合形フランジ(ルーズフランジ:Loose Flange/ラップジョイント:Lapped Joint Flange)
ねじ込み式フランジ(スレーデッドフランジ:Threaded Flange)
以下、それぞれの接続方法によるのフランジの特徴・用途など。
差込み溶接式フランジ(スリップオンフランジ:SO)
差込み溶接フランジとは、スリップオンフランジとも言われ、溶接式フランジの一種で一般的に広く使われている接続方式のフランジです。
その形状は、上図のように、ハブのあるもの(ハブフランジ:SOH)とハブをもたないもの(板フランジ:SOP)があり、その呼び径などで分けられている場合もありますが、一般的には板フランジ(SOP)は小口径・低圧の配管系に使用されます。
差込み溶接フランジは、上図のようにフランジにパイプ・配管を差し込んでフランジの上面と、フランジ内径の内側をそれぞれ隅肉溶接して接続します。
JISフランジでは、呼び圧力20K及び30Kのスリップオンフランジ(ハブフランジ:SOH)には、A形、B形 及び C形 の3種類のハブフランジがあります。
ソケット溶接式フランジ(ソケットウェルドフランジ:SW)
ソケット溶接フランジとは、ソケットウェルドフランジとも言われ、これも溶接式フランジの一種です。
ソケット溶接フランジも差込み溶接式フランジと同様に、上図のようにフランジにパイプ・配管を差し込んで接続します。
ソケット溶接フランジの場合は、フランジ内径に段差があるため、その段にパイプを載せて、溶接はフランジの上面だけを隅肉溶接して取り付けます。
差込み溶接フランジでは、フランジのシート面を隅肉溶接の余盛などで傷つける恐れがあり、それを防止するために特に小口径配管・フランジの接続に用いられる場合が多いフランジです。
突合せ溶接式フランジ(ウェルドネックフランジ:WN)
突合せ溶接フランジとは、ウェルドネックフランジとも言われ、石油・化学装置関連などには非常に多く使用されている溶接式フランジの一種です。
突合せ溶接フランジは、パイプや配管部品類と直接溶接接続が可能であるため、溶接工数が少ない利点があり、また、熱応力や振動などの外力に対する強度も強い上に、突合せ溶接であるために内面の仕上がりも平滑であるという利点もあり、最も信頼のおけるフランジです。
一方で、他のフランジと比べてフランジ価格が高価なため溶接工数を含めても高価でありなどの欠点もあります。
遊合形フランジ(ラップジョイント:LJ/ルーズフランジ)
遊合形フランジとは、ラップジョイント、又は、ルーズフランジとも言われるフランジです。
ルーズフランジは、一般には、上図のようなスタブエンドと呼ばれるつば状の配管継手と組み合わせて使用されます。
スタブエンドのつばの無い側にパイプを突合せ溶接して、パイプとスタブエンドを接続します。
ルーズフランジとスタブエンドはスタブエンドのつば部分で引っかかりをもつだけなので、両者には拘束がなく、ルーズフランジは自由に回転することができます。
そのため、相手側のフランジにボルト・ナットで取り付ける際、配管自体をを軸方向に回転させることなく、ルーズフランジだけを回転させてルーズフランジのボルト穴の位置を自由に調整することができます。
ルーズフランジは、一般には以下のよう場合に使用されます。
・腐食流体などを扱う配管で、その材料が高価であって、フランジもそのパイプ材質と同材質で作るとフランジが非常に高価になる場合。
・銅や鉛などのように、フランジ材料としては不向きな場合。
・接続する相手側が変わってその都度フランジボルト穴位置も変わるような場合。
上記のような用途に使われることから、一般にはルーズフランジ材質とパイプ材質とは異なる場合が多くなります。
ルーズフランジは、一般に溶接が不可能なパイプとの接合に用いられ、低圧・低温の、あまり危険のない配管などの接続に用いられます。
例えば、鋳鉄管、飲料水配管、計装用空気配管などの配管系に用いる亜鉛メッキ管などの接続に使用され、フランジ材質も可鍛鋳鉄が一般的材質になります。
ねじ込み式フランジ(スレーデッドフランジ:TR)
ねじ込みフランジとは、スレーデッドフランジとも言われ、フランジに配管をねじ込んで接続するフランジです。
ねじ込みフランジは、フランジ内径にテーパーめねじが切ってあり、パイプの先端部分にテーパーおねじを切った配管をねじ込んで接続します。
ねじ込みフランジは、溶接作業が不要で、そのコストがかかりませんが、ねじによる接続のため、シール性に信頼がおけず、主に小口径・低圧・常温の配管系のフランジなどに利用されます。
■ フランジシール面(フランジフェイス面)の形状によるフランジの種類
なお、フランジシール面とは、フランジフェイス面などとも言われ、以下の図のように、フランジのガスケット面(ガスケット座面)のことです。
配管や機器ノズルなどに取り付けたフランジ同士を接続する場合には、配管内部の流体の漏れ防止のために、一般的にはフランジとフランジの間にガスケットを挟み込んだり、フランジに溝を切ってOリングをはめるなどの方法でシールを行います。
フランジシール面(ガスケット座)は、使用するガスケットの種類によって大きく左右されるので、フランジシール面の決定は、ガスケットの選定との関連で決める必要があります。
ガスケット座の種類としてには、主に以下のようなものがあります。
全面座:FF(フラットフェイス:Flat Face)
全面座とは、フラットフェイスとも言われ、上図のようにガスケット座面を全面に平面に仕上たものをいい、記号は FF で表されます。
全面座(FF)は、一般に軟質のガスケットと共に使用され、JISフランジでは呼び圧力が10K以下、JPIフランジではクラス150以下などに利用されます。
特に、機器やバルブなど接続する相手側の相フランジが鋳鉄製の場合は、全面座を使用しなければいけません(ボルト・ナットの締め過ぎに起因する強度上の理由などから)。
平面座:RF(レイズドフェイス:Raised Face)
平面座とは、レイズドフェイスとも言われ、上図のようにボルト穴の内側に平らな座面を設けたものをいい、記号は RF で表されます。
平面座は、上図のようにボルト穴の内側にほぼ接する平面座の大平面座と、大平面座より小さい平面座の小平面座とに区別する場合がありますが、平面座(RF)は、最も広く利用されているフェイス面のフランジです。
はめ込み形:MF(メールアンドフィメール:Male and Female)
メール座:MF-M/フィメール座:MF-F
はめ込み形とは、メールアンドフィメールとも言われ、上図のように一対のフランジを接合面でオス(メール座)・メス(フィメール座)の形に作ったものをいい、記号は MF(メール座:MF-M、フィメール座:MF-F) で表されます。
はめ込み形(MF)は、バルブのボンネットフランジやコンプレッサーの接続フランジなどのように、心出しを正確に行う必要のある場所などのフランジに利用されます。
溝形:TG(タングアンドグルーブ:Tongue and Groove)
タング座:TG-T/グルーブ座:TG-G
溝形とは、タングアンドグルーブとも言われ、上図のように一対のフランジの接合面に、一方は溝形の凸部を設け(タング座)、他方には溝形の溝を設けたもの(グルーブ座)をいい、記号は TG(タング座:TG-T、グルーブ座:TG-G) で表されます。
溝形(TG)は、はめ込み形とは異なり、座面は凹面と凸面からなっているため、ガスケットの当たり面が小さく、面圧を大きく取ることができます。
そのため、気密性がよく、危険性流体、真空配管用、高圧のアンモニア配管用などに使用されます。
リングジョイント座:RJ(リングジョイント:Ring Joint Face)
リングジョイント座とは、上図のようにフランジの接合面で、リングジョイントガスケットが入れられる溝をもつものをいい、記号は RJ で表されます。
リングジョイント(RJ)は、使用するガスケットは金属であり、そのシール面は金属の線接触となるので、そのシール性は非常によく、高温高圧に耐えることができます。
また、他の座面のフランジよりも接続する配管の曲げ方向の外力に対しても強さを発揮し、シール面が露出していないのでシール面の損傷も少ないといった利点もあります。
しかし、メンテナンス時には、フランジの脱着に多少の困難さを伴うといった欠点もあります。
リングには、八角形(オクタゴナル)や印形(オーバル)などがあります。
■ フランジ材料・材質の種類
フランジの製造に使用される材料には、用途や分野により、各種の材料が利用されます。
各JIS規格フランジにおいて使用される材料・材質の一例は以下のとおりです。
JIS B 2220 鋼製管フランジ
■炭素鋼:
・圧延材:SS400(JIS G 3101)、S20C・S25C(JIS G 4051)
・鍛造材:SF390A・SF440A(JIS G 3201)、SFVC1・SFVC2A(JIS G 3202)
・鋳造材:SC410・SC480(JIS G 5101)、SCPH1・SCPH2(JIS G 5151)
■低合金鋼:
・圧延材:-
・鍛造材:SFVAF1・SFVAF11A(JIS G 3203)
・鋳造材:SCPH11・SCPH21(JIS G 5151)
■ステンレス鋼:
・圧延材:SUS304・SUS316・SUS304L・SUS316L(JIS G 4304、JIS G 4305)
・鍛造材:SUSF304・SUSF316・SUSF304L・SUSF316L(JIS G 3214)
・鋳造材:SCS13A・SCS14A・SCS16A・SCS19A(JIS G 5121)
JIS B 2239 鋳鉄製管フランジ
■ねずみ鋳鉄:FC200(JIS G 5501)
■球状黒鉛鋳鉄:FCD-S(JIS B 8270)、FCD350・FCD400・FCD450(JIS G 5502)
■黒心可鍛鋳鉄:FCMB27-5・FCMB35-10・FCMB35-10S(JIS G 5705)
上記の材料と同等以上と認められるASTM材料とISO材料(参考)
■ねずみ鋳鉄:ASTM A126-A/B、ISO 185-200/250
■球状黒鉛鋳鉄:ASTM A395、ISO 1083-350-22/400-15/450-10/600-3、ISO 2531-400-5
■黒心可鍛鋳鉄:ISO/DIS 5922-BF27-05/BF30-06/BF35-10、ASTM A47-32510
JIS B 2240 銅合金製管フランジ
■スリップオンろう付式フランジ(SO):
・CAC202(YBsC2)(JIS H 5120)
・CAC407(BC7)(JIS H 5120)
■一体フランジ(IT):
・CAC406(BC6)(JIS H 5120)、UNS No.C83600(ASTM B62/B271/B584)
・CAC402(BC2)(JIS H 5120)、UNS No.C90300(ASTM B271/B584)
・CAC407(BC7)(JIS H 5120)、UNS No.C92200(ASTM B61/B271/B584)
JIS B 2241 アルミニウム合金製管フランジ
■JIS H 4040:A5083BE、A5083BD、A6061BE、A6061BD
・対応ASTM材料規格(参考):ASTM B221(5083、6061)、ASTM B211(6061)
・対応ISO材料規格(参考):ISO 6362-1~-5(AlMg4,Mn0,7、AlMg1SICu)、ISO 6363-1,-2,-4及び-5(AlMg4,Mn0,7、AlMg1SICu)
■JIS H 4140:A5083FD、A5083FH、A6061FD、A6061FH
・対応ASTM材料規格(参考):ASTM B247(5083、6061)
■ フランジの呼び圧力(レーティング)|圧力-温度基準(P-Tレーティング)
装置配管などには数多くのフランジが使用されますが、これらをそれぞれの使用条件によって一つずつ計算していたのでは大変な労力が必要になります。
そのため、おのおのについて設計するよりも、フランジをいくつかのグループに分けて規格化すれば、設計条件によるフランジの種類を減らして互換性を持たせることができ、頻雑さをなくして総体的には経済設計となります。
このような考えから、JISやANSI、JPIなどのフランジいずれにおいても、フランジには呼び圧力というものを規定して、いくつかの種類に分類しています。
この呼び圧力のことを、レーティングとも呼んでおり、これは、フランジの形状や材質によって異なってきます。
JISフランジ(JIS B 2220 鋼製管フランジ)の場合には、この呼び圧力(レーティング)として、5K、10K、10K薄形、16K、20K 及び 30K の6種類の呼び圧力のフランジレーティングが規定されています。
(この6種類のほかには、2K、40K 及び 63K のフランジレーティングが、参考として附属書に規定されています。)
この呼び圧力に対する流体の温度との関係、つまり、最高使用圧力と流体の温度との関係を定めたもを、圧力-温度基準、或いは、P-Tレーティングといいます。
JPIフランジの場合は、JPI-7S-65(フランジ及びバルブのP-Tレイティング)に規定されており、クラス 75、150、300、400、600、800、900、1500 及び 2500 のJPIフランジが規定されています。
フランジ規格には、このP-Tレーティングが定められており、流体の状態・温度、圧力条件などの設計条件をこの圧力-温度基準に当てはめることによって、呼び径ごとに設計条件に合った適切な形状・材質のフランジを容易に選定することができるようになっています。